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手術に向かうにあたって

先日カウンセリングの中で患者様から「手術はどのような気持ちで臨まれるのですか」という趣旨のご質問を受ける事がありました。その時は、自分の手術に向かう気持ちをわかりやすく簡潔に伝えるために「一人一人真剣に、でも、心穏やかに臨みます」とだけお答えさせて頂きました。振り返ると、この言葉だけでは私が手術に向かうに当たってどのような心構え・思いでいるかを伝えきる事が出来ていないと感じましたので、今回は私の手術に向うにあたっての思いを書かせて頂きます。

まず、心臓外科医等の一般的な外科医も含め外科医は手術の予定が決まってその手術を始めるまで、頭の中で何度も何度もシミュレーションを繰り返します。経験を多く積み、シミュレーションを重ねることで、初めはぼんやりとした頭の中の画像だったものが細部にわたり鮮明に映し出されるようになります。その状態で「もし、このような事が起こったらこのように対処しよう」というパターンを数限りなくシミュレーションします。時には手を動かしながら、時には目をつむり何度も何度も行います。

以前テレビドラマであった白い巨塔という番組の中で、財前医師が夜の屋上で目をつむりオーケストラの指揮者のように手術をシミュレーションする場面があります。あの光景は多少大袈裟に表現されてはいるもののありえない描写ではないのです。

このシミュレーションは実際の手術をスムーズに行うために必要な工程です。もし、手術中に想定外のことが起きたとするならば、そのことをシミュレーションできていなかった術者の怠慢です。想定外のことをも想定しシミュレーションを重ねることで、手術中のどのような状況にも対応できる状態で手術に向かうべきだと考えております。

今思い返せば、一人の手術に対し何度も何度もシミュレーションを行う事で1回の手術でも多くの手術を行ったような経験を積むことができたのでしょう。

外科医が全員このようなことまで行っているかは定かではありませんが、少なくとも今まで私が見てきた手術がうまいと感じる医師は例外なく行っています。そのような医師から指導され、そのような医師を見てきた私も当然のように行ってきました。

一人一人真剣にという言葉は、手術が始まってからはもちろんのこと、手術が始まる前から手術に向き合い、質の高い手術を提供させて頂いているとの思いを込めた言葉になります。

しかし、いかに真剣であっても意気込みが強すぎて空回りするほどの心持ではいけません。スポーツなどでも練習をいかに真剣にやっても気負いや緊張で本番で力を出し切る事が出来なくては、それはアマチュアです。プロとして手術本番は心穏やかに、十分な実力を発揮できる状態でなければいけません。そのためにもシミュレーションを繰り返し行い、自信をもって手術に臨む準備をすることはとても重要なことになります。もちろん実際の手術を数多く経験していることは前提となるでしょう。

私は当院で提供している手術を何十件・何百件・何千件と行ってきました。それに加えてシミュレーションを数限りなく行うことで、手術前の気持ちを心穏やかに整える事が出来るのです。

心穏やかにという言葉には、自信をもって手術を行うための十分な経験と準備をもって、心を整えて実際の手術に向かわせて頂いているとの思いを込めております。

「一人一人真剣に、でも、心穏やかに手術に臨む。」これが、私が手術に向かうに当たって大切にしていることです。これからもこの思いを大切にし、多くの患者様の笑顔のお手伝いが出来るように日々診療して参りますので、お力になれることがあればぜひ水の森美容外科をご利用くださいませ。